標高数4000メートルの高山を舞台に行われた芸術祭、Forest Art Festival in Ladakh 2023。ラダック地方では、岩山の隙間を力強い風がすり抜けていく。標高が高いため、高山の日差しが照りつけ、すべてが乾燥している。この広大な地と８日間向き合って私は作品を描いた。

一つ目の作品は、「飛ぶ人」。ラダックでの滞在中、高山を散歩道のように歩く姿が印象的だった。岩山を上る人々は皆、スルスルと山を登る。風に乗る鳥と岩山を駆けるラダックの人々絵を重ね、これをテーマに作品を描いた。

二つ目の作品は、「はじまりの生き物」。今回の芸術祭の会場となったエリアには樹木が植えられている。岩山のエリアでは土砂災害が多く、緑が根付くことがとても難しい。そのため、木材も非常に貴重だ。大きな自然の変化と共に共存するラダックの逞しい生命力を、日本やインドに生息する微生物に重ねて描いた。人間の遠い祖先、まだ私たちが小さな微生物だった頃、自然に揉まれながら生き抜いてきた私たちのエネルギーが、この土地に根を張る木々を見守る養分となるように祈りを込めて。